2012年11月24日土曜日

「Physics and Industry」というワークショップに参加してきました。


今週は、「Physics and Industry」というワークショップに参加してきました。
ワークショップの目的はずばり、物理研究者と産業の接点を持つこと。
およそ40人の物理研究者が5つの企業が持ち込んだ課題に取り組みました。

私が参加したプロジェクトは、医療現場などでの利用が期待されるバクテリア検査技術の構築です。
多種多様なバクテリアの有無、生死、量を、定量的にどう評価するかが課題。
医療関係の方が使うわけですから、使い方は簡単でかつ当然低コストでなければなりません。
物理的な視点での生とは何か、死とは何かなどおもしろい論点もあります。

私たちのグループのアプローチは、光学測定と電気測定の併用。
サイエンスの論文などを参照しながら、あーでもないこーでもないと議論してました。

今回の経験を通して痛感したのは、まず私の英語力のなさ。
私のグループは私以外が全てオランダ人で、彼らの英語はとても流暢です。
こちらに一年以上いるとはいえ、やはり典型的な日本人。
オランダ人の早い英語についていけません。
わからないときは議論を止めて質問するようにと言われるのですが、ほとんどの議論がわからないからその都度止めていたら全体の議論が進みません。
2割くらいがわかるかな~という感じで流れに身を任せていました。

次に、個人プレーが主の物理研究者が協調することの難しさ。
研究者は個々各々がそれぞれの興味があるテーマに飛び込んでしまうため、誰かがリーダーシップをとりグループがまとまって一つの課題に取り込むことがどうしても苦手だなと感じました。
ちなみに私は議論の内容がわかっていないのですから、リーダーシップをとれるわけがありません。

最終的には、5日間という短い期間のため未消化な部分を多く残しながらも、45分に渡るプレゼンテーションを無事にこなして終了です。

今回のワークショップは、交通費、宿泊費、そして食事やお酒も含めて、全てワークショップ持ちの高待遇です。
日本では全く考えられませんが、オランダではあたりまえなのです。
オランダも資源が無い国なので、科学技術にかけるしかないという覚悟が感じられます。

オランダの博士課程には、主にヨーロッパとアジアから多くの優秀な学生が集まってきます。
特に、ロシアやイタリア、スペインなど不安定な国からオランダへの移住を真剣に考慮して人も多いので、モティベーションも高く、本当にみな優秀です。
企業から見ると、若くて優秀な頭脳を小額のお金で活用できる。
研究者から見ると、専門外の研究に接して視野を広められ、企業での研究開発のスタイルを模擬体験できる。
国から見ると、アカデミアとビジネスの交流を促進できる。
と、まさにいいこと尽くめのプロジェクトでした。

このようなワークショップは、1960年頃からイギリスの数学者の間で始まり、今では世界中の数学コミュニティーで広がっているとのこと。
オランダでは3年前からこのプロシージャーを元にこのワークショップを始め、とても好評なので来年以降も続けていくことが確定しています。
ちなみに、オーガナイザーにこのプロジェクトのデメリットは何かと聞いたのですが、回答は「特にない」。
気になるご予算ですが、オーガナイザーがトータルで200万円ほどと教えてくれました。
そのうち半分強を国の機関が、残りを企業からのお金でまかなっています。

日本の博士の就職率は6割などととても危機的な状況にあると聞いています。
というわけで、まさに日本でこそこういうワークショップがあればいいのになーとずっと感じていました。

2012年11月5日月曜日

パクスジャパネーゼ


ちょっと酔っぱらってしまいました。
というわけで、最近イタリア人との話を通して思ったことを書いてみます。


歴史は繰り返される。
これは常に結果を知る人間が知ったかぶりで言う台詞だと思うけど、それでも今の日本と古代ローマの歴史には多くの共通点があるように思います。


ローマはご存知の通り、世界国家と言われるほどの巨大帝国を築き上げました。
ただその道のり、平坦ではありません。

共和制時代の古代ローマは、二人の執政官と元老院のサポートによって政治が行われ、破竹の勢いでヨーロッパ全域を支配して行きます。
急激な領土拡大はさまざまな弊害を生み、徐々に弊害が表面化して行きます。
そのとき、この問題を解決しようと若い有能な政治家が改革を企て実行しようとしますが、既得権益という触れてはいけないものを触ってしまいます。
結果、改革を主導する若い政治家は全て同じように暗殺されました。

多くの血が流された後、ローマでついに天才カエサルが産まれます。
カエサルは桁違いの天才です。
その圧倒的な実力を行使してカエサルは独裁者となり、ついに改革を次々と実行しました。
ただその途上、カエサルもまた暗殺されます。


さて、現在。
1990年までの高度経済成長、そしてその後のグローバル化に伴う急激な環境の変化に日本も翻弄されています。
政治家は口々に、改革を口にします。
でも改革を真に実行している政治家を私は知りません。
改革を実際に実行した人間のその先を、みなさん知っているのでしょう。
というわけで、私は日本の政治家に罪は無いと思います。

もしかしたらホリエモンは改革者の一人かもしれませんが、彼は現在、社会から抹殺されています。


ローマではカエサルの死後、反カエサル派が粛正されます。
改革は常に、血を求めるのかもしれません。
ただその後のローマは、カエサルの養子に迎えられた皇帝オクタビアヌスに主導されて、パクスロマーナという平和な時代を謳歌します。

当然のことですが、その手法はどうであれ、変革が必要な時代には変革をすべきということですね。
政治手法で独裁は常に悪と見られますが、もしかしたら時には必要なのかもしれません。
特に、今の何も決められない日本の政治を見ると、そんな思いが強くなって行きます。

日本の将来にも、パクスジャパニーズが来るのでしょうか。
私はその実現に関しては確信していますが、課題はその過程です。
当然、私は血が流れるような状況は望みません。
全て平和に変革を実行して幸せな時代を享受するにはどうすればよいのか。。。
そんな方法、私は全くわかりません。
残念ながら私は、カエサルの生まれ変わりではないようです。


ただ、もしかしたら全ては歴史が教えてくれるのかもしれません。
そんな方法は、存在しないと。

2012年5月6日日曜日

新しいiPhoneアプリ、「ベクレル表」をリリースします!

残念ながら、多くの方が食品の放射能汚染を心配しながらお暮らしのことと思います。今、とても重要なのは、できるだけ正しい情報を得て何が安全なのかを認識することだと考えています。
そこで私は、三重大学の奥村先生が厚生労働省が公開したデータをまとめたものをダウンロードして解析し、効率的に表示する新しいアプリを作成しました!

このアプリを通して得た情報から、日本の食品の放射能量はほぼ全て問題ないということが確認できるかと思います。多くの人が安心感を得られるように願っております。



2012年1月2日月曜日

地震について

bit.ly/vQLnWI
これはとても重要なデータだと思う。ポイントは、
・なんとなくバラバラに起こっている感じがする地震も、発生回数に注目してみると変化がとてもなだらかなこと。
・311前と後では地震回数の変化の傾きが明らかに変わっていること。つまり、311は特異点だけれども、まだまだ日本は地震の活動期。4月中旬にも一度、 変化が見られるのが興味深い。

311前と後では日本の状況が全く違うということも言える。つまり、311前のデータをもとにした研究者の議論で今回の震災を評価できるかといったら、恐らく無理だと思われる。こんなに詳細なデータが蓄積された巨大地震も、これまでなかったのではと想像される。
地震は偶発的な面があるので、個々の地震に注目してもほとんど意味が無い。統計的なデータを元に大局的に考察するのが正当なんだろうなと、地震学のド素人は考えます。